お見合いですか?
5年前ですか?
 まるで、とっておきの秘密を打ち明ける子供のように、楽しそうな顔して、彼は5年前に私と会ったことがあると言ってきた。
5年前ということは、林さんと来店したのかな?居たっけ?
ただのお客さんだったのかな?
どちらにしろ、分からない。
思い出せない。

 夕飯の支度をして、彼と交代でお風呂に入った。たまには、夕飯前に、お風呂に入ろうと思ったのだ。
 それから、夕飯の時は、もう、さっきの話題を出せる雰囲気でもなくて。
 買ってきたものを、皿に移し替えて、温めただけの夕食だったけど、彼は普段と変わらない様子で食べている。
 まぁ、好きなものを買ってきてるんだから、不味いわけは、ないよね。
 時々、テレビを見て笑う彼を眺めながら、何で、不満に思ってるんだろう?
いいじゃないか、買ったもので美味しいなら私だって楽じゃないか。目の前の魚の煮つけに箸をつけた。

 「なんかさぁ、やっぱり愛実が作ったやつのほうがいいなぁ」と、突然彼が言った。
彼の方を見ると、唐揚げをつまんでいる。
唐揚げ好きなんだね、そう思いながら、
「揚げ物は、揚げたてが一番美味しいから。」
と応えた。
「いや、そうじゃなくて、全体的に?味の好みが合うっていうか。。」
「ああ、そりゃあ、合わせてますから。」
「えっ、そうだったんだ?凄いな。」
急に褒められて、ちょっと照れる。さっきまでの不満は何だったのだろう。
「良かった。そう思ってくれてたなら、あわせてたかいがあります。」
そう笑って言った。めったに褒めたりしない人に褒められるって、嬉しいもんだなぁ。とか思ってると、自分の携帯が鳴っているのが聞こえた。
夕食後、確認すると、今日、久しぶりに会った、明日香からメッセージが届いていた。 
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