お見合いですか?
 何となく、後ろめたい。
会社を休む事が、というより、パーティーにいく目的が不純だから。
でも、仕事に生かせるかもしれないし。

 何時ものように、悠斗さんの帰りを休憩スペースでまっていた。
ガチャガチャと物音がして、休憩スペースをでた。
 「お疲れさまです、お帰りなさい。」
「ああ、お疲れ。」彼は、そう言って支社長のデスクに座った。
「コーヒー淹れますか?」と聞くと、珍しく断られた。
「あ、っじゃあ、給湯室を片づけてきます。」

 ああ、コーヒー無駄になっちゃったなぁ。
用意していたコーヒーを流しに捨てていた。
「来週休むの?」そう、声がして、ビクッとした。
振り向くと、悠斗さんが給湯室の入り口に立っていた。
「あっ、はい。あの、明日香、、えっと、友人
なんですけど、グルメとか扱う雑誌の編集とかをやっていて、今日、お昼を一緒に食べたんですけど、招待状を貰ったんです。」

「招待状?」

「あっ、後で見せませす。」そう言って、給湯室の片付けを再開した。

 片付けが終わって、フロアーに戻ると、支度を済ませた彼が、待っていた。
「招待状って?」と聞いてくるので、「ちょっと待っててください。」と言って、自分のバッグを取りにいった。

「これです。」と、招待状を手渡す。
彼は、念の為と言いながら、コピーをとった。
「コピーじゃ入れませんよ。」
と言ったら、「馬鹿か?」と言われた。
ムカつくことに、真顔で。
だから、「冗談ですよ。」真顔で返した。
「ちゃんと、調整していけよ。」真顔のまま言われたので、「勿論です。」と、意気込んで、返してやった。
どや顔でいたら、くしゃくしゃっと頭を撫でられる。
髪が乱れる、と抗議しようとしたら、その手が顎に来て、何も言う間もなく、キスされていた。とっさの事で、抵抗も出来ずに、力が抜けそうになる。
やっと唇が離された時には、彼に抱きかかえられていた。「し、支社長・・」上がってしまった息を整えながら「ここ、、会社、ですよ。」
そう、言うのがやっとだった。
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