お見合いですか?
 何をやっていたんだ俺は。
ああ、こんなことなら、聞かれた時に言っときゃ良かった!
 「愛実、ごめん」そう言って、少し強引に布団を引き剥がした。
少し、ビクッと驚いたみたいだけど、頑なにこっちを向こうとはしない。
ベッドに座り、彼女に布団をかけ直す。
彼女後頭部を撫でながら、話した。

 「ごめんな、今まで話せなかったのは、愛実の事を信じて無かった訳じゃないんだ。ただ、巻き込みたく無くて。・・・いや、違うか、信じて無いか。」
彼女が少し動いたのが分かった。それでも彼女の頭を撫でながら、続けて話す。
「正直に言うと逃げられそうで、今まで、言えなかった。」

 「なんで?」
「えっ?」
少ししゃくりあげてから、彼女が聞いてきた。
「なっんで、、逃げるの?」
「なぁ、ちゃんと話すから、いい加減顔見して。」
むくりと上半身を起こし、彼女は俺に背を向けて俯いている。
「ほら、鼻水拭け。」とテッシュを箱ごと渡す。
「そこは、涙、っでしょ」と言いながら受け取る。
落ち着くのを待って、顔を見せて欲しいと頼んだ。
彼女は、ゆっくりと顔をあげた。
目が赤い、そっと頬に手を伸ばした。
彼女の顔を挟むようにして、見つめる。
とりあえず、ここは雰囲気に流されて欲しい。
そっと顔を引き寄せて、目を閉じ・・
「先に、話して。」
ちっ、やっぱ、流されなかったか。
さすが、俺が惚れた女だ。
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