副社長と愛され同居はじめます
何だろう。
なんで?


どこへ行くのか聞いても何も言わなかった。
明らかに言うつもりがない反応。


同時にさっきの電話の女性が頭に浮かんで、どうしても関連付けてしまうのは致し方ないだろう。


伊月梨沙さん。
綺麗な声の人だった。


あの反応は間違いなく、私に関わらせたくない、知られたくもないということだと思う。


単純に浮かぶ予測は一つだ。
以前付き合っていた女性、それに間違いない気がした。


問題はなぜ、電話をかけてきたのかということと、今彼がどこにいるのかということだ。


彼女に会いに行ってるのかもしれない、と勘繰っても仕方ないと思う。


つい、そわそわと視線が時計の針を追う。
昼休憩は気にせず取れと言われていたけれど、結局コンビニでおにぎりを買って副社長室で食べてしまった。


いつ彼が帰って来るだろうと、気になって仕方なかったのだ。

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