ムシ女
そんな会話が聞こえてきた後、陽介君が階段を上がりはじめるのがわかった。


ゆっくりとポケットから顔を出すと、大きな階段が目に入った。


「陽介君の部屋は2階なの?」


そう聞くと、陽介君は小さく頷いた。


2階に上がり、一番奥の部屋へと進む。


廊下には小さな棚があり、白雪姫と7人の小人の置物が飾られている。


あたしは自然とその置物に目を奪われていた。


「どうした?」


あたしがジッと置物を見ていることに気が付いて、陽介君が途中で立ちどまってそう聞いて来た。


「陽介君は、小人はいると思う?」


その問いかけに「そんなのいるわけ……」と、言いかけてあたしを見た。


「いる……のかもしれないな」


そう言い、小人の置物へ視線を向けた。


あたしと7人の小人は今同じくらいの大きさだ。


「あたしは小人じゃないよ」


そう言うと、陽介君は笑って「そっか」と、言ったのだった。
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