苦手だけど、好きにならずにいられない!

私はデスクの下に隠すように置いたパンプスに履き替え、席を立つ。

オフィスから外へ出る時はサンダルは絶対NG。ラフ過ぎる格好ではいけない。それはこのビルで働く者にとっては当然のこと。


55階建て【B.C. square TOKYO】は日本でも屈指のオシャレなオフィス&ショッピング・ビル。
横浜ランドマークタワーや東京ミッドタウンなんかと肩を並べるくらいすごいんだから。

こんな会社に何故私が?って入社して三ヶ月経ってもまだ思う。


(やばい、あと10分しかない…)

ホテルみたいなピカピカの床をヒールの音を響かせ、急ぎ足で歩く。6基ある共用エレベーターは、信じられないくらいすごいスピードで動く。屋上ヘリポートへ行くのはそのうちの1基だけなのだけど、このビル内には秘密の場所にVIP専用のエレベーターがあるんだって(寺島先輩情報)

ポーンと音が鳴り、エレベーターの扉が開く。ラッキー、誰もいない。


「やった、私の勝ち!」

私は独り言を言う。エレベーターに乗る時はいつも賭けをする。誰か先客がいたら負け。誰もいなかったら良いことあるの。


貸し切り状態のまま、エレベーターは実に滑らかに上昇していく。
気圧の変化で耳がキンとなってしまう。

ピアスに触れないようにして耳たぶを引っ張り、耳抜きをした。

こんな風になるの私だけ?毎日、高層階に通っていたら慣れてしまうのかな?


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