極上俺様姫
「わかんないけど…たぶん、よかった」

「??」


わたしは、意味がわかっていない梓をおいて、スタスタと歩き出した。



「おはよう、紅野さん」


教室に入ると、誰かに肩を叩かれた。

「?」


わたしは“ソイツ”の顔を見て、首を傾げた。


初めて見る顔だ…。



生徒にしちゃ大人っぽいし

教師にしちゃ幼さが捨て切れていない。



「僕、今日からこのクラスに入った、錦谷恭二ゆうねんけど…」


わたしは思わず面食らってしまった。


関西弁を喋っていることも驚いたけど

この知的な美少年がそれを口にすると


どこか、上品で艶がある感じがする。



軽快で親しみやすい関西弁のイメージが覆された気持ちだ。


「…って、転校生が何でわたしの名前を……?」

「……あ…やっぱ、覚えてへんねや…」



は?



覚えてるも何も、わたしの知り合いに

関西弁を喋る知的な男なんて、微塵もいないぞ。




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