藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

「悪かったな。
嫌な思いばかりさせて」

藤沢先生は、会うなり私に謝ってくれた。

心臓がドキッと高鳴る。

「藤沢……お義兄さん」

「俺は、結局何も出来なかった。
何度も話し合いを持とうとしたが、父さんは
俺を一人前の院長にすることしか考えていない。
坂下先生は、確かに凄い医師で尊敬しているが
それは、恋愛感情ではない。
昔、俺の趣味を否定した……」

「だが百花は、違う。
俺の趣味の絵を否定しないどころか
尊敬してくれた。それは、俺にとったら
何よりも嬉しい言葉だった」

そう言いながら私をジッと見つめてくる。

藤沢先生……。

「俺は、不器用だからお前の望むような
気の利いた言葉も行動もしてやれない。
また傷つけるかもしれない。それでも
そばに居てほしい。好きだ……百花」

確かに不器用なのかもしれない。

手先は、器用なくせに……。
でも、それでも私は、先生が好き。

この人じゃないとダメなんだ。
精一杯の気持ちが伝わってくる。

「お義兄さん。ううん、藤沢先生。
あなたが不器用なのは
分かっています。それでも
私は、あなたが……好きなんです」

私も精一杯の気持ちを伝えた。

だから、そばに居たい。

すると藤沢先生は、私にkissをしてくれた。
甘くて少し強引なkissだ。

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