街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



「あー、あっちー。」


とりあえず暑い。
後ろのやつも暑苦しい。

俺はもう、椅子に座って窓へ項垂れていた。


「そういや大翔はこの夏、何人女ができたんだよー。」


「……言っとくけどな」


くっだらねーことを言い出すから、俺は外から智樹の方へと顔を向けた。

この際はっきり言ってやる。


「俺はただ遊んでやってるだけ。
本気で付き合ってる訳じゃねーんだから、誰一人できてねーよ。」


「お前ってやつは…」


別に嫌いな訳じゃない。
だけど、やったあと"なんでこいつと寝たんだろ"なんて思う俺は、きっと誰のことも好きではない。

だから全員、一回きり。


「大翔ってさ、誰かを好きになったりすんの?」


「はぁ?俺彼女いたじゃん。中学の頃。
好きじゃなきゃ3年間付き合ってねーわ。」


「ふうん?なら別れなきゃよかったのに。
大翔から振ったんだろ?なんで別れたわけ?」


「別に。
……ただ、高校入って変わったんだよ、あいつ。

しかも今更なにいってんだよ。」


「いいなー、俺も彼女ほしい。」


……こいつなんなの?会話できねーの?
まともの返事できねーのかよ。繋がってねーよ。


「智樹モテねーもんな。」


「るせぇ!」


男の俺から見たら、智樹も悪くはねーと思うのにな。
なんでモテねーのかな、こいつは。



< 4 / 217 >

この作品をシェア

pagetop