5年3組パラダイス
最近、僕たちは天体観察はまりだした。

それというのも、九月十六日に、単身赴任中のお父さんから、僕の誕生日必着で、プレゼントが届いた。
そのプレゼントの中身は天体望遠鏡だったから。

『わぁ、望遠鏡!将太君、ボク、月とか、金星とか、土星が見たい!』と、僕を急かして、僕も逸る気持ちのまま、日が沈みきらないうちに天体望遠鏡をベランダにセットした。

かつお君は、10歳の誕生日に親戚の叔父さんから月の土地と土星の土地と、金星の土地を1エーカーずつ買ってもらったんだと話してくれた。

1エーカーってサッカーのコートくらいの広さがあるらしいけど、月も金星も土星も、1エーカー3980円とかで売ってたとか?
嘘っぽくて、ありえなさそうな話だけど・・・。3980円で月の土地が買えるなら僕も欲しいなとか、思ったりして(笑)。

天体望遠鏡で一番初めに見たのは、地球の一番近くにある月。

月のクレーターってのを目で見た時は、凄く嬉しかったし、それから土星の輪を見た時ももうビックリ。本当に土星には輪があるんだぁ!って単純にも感動。

あの月の何所かに、かつお君の土地があるんだー。

その夜はクラスの男子のみんなと月でサッカーをした夢を見た。

その中にはかつお君もいて、今まで見たことの無い、砂埃にまみれて駆け回るかつお君の姿がとても生き生きしていて印象的だった。

その日以来僕たちは毎日天体観察をしている。



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