5年3組パラダイス
「なら、私も信じる。私は、桜の木とか、よく分からないけど、桜が1ヶ月散らなかったのは事実だし、証人がこんなにいるんなら・・・。」
「私も。」
「オレも。」
「ボクも。」

そして次々と学君の言うことを信じてくれる子達が増えて、ついに、全員一致団結っぽく、これからかつお君が四十九日迎える時まで、かつお君の思い出作りに力を注ぐって事でクラスの皆が同意してくれた。

『みんな、有難う。』

かつお君も感動して泣きそうな声でお礼を言った。

「まさお君の、声・・・?」
「い、今のまさお?!」
「すげぇ!マグロ、喋った。まさおの声だ!」
「まさおー!」
「まさお君!」

すごい!

今時の五年生なんて、皆マセていて現実的な子ばかりかと思ったら、こんなに皆が嘘っぽい現実離れした話を信じるって言ってくれて、少しでも現実離れしてるとか、疑ったら聞こえないはずのかつお君の声が、クラスのみんなに届いた!

なんか感動。

かつお君が泣いているような気がして、少しの間、声をかけずに、そっとしておいた。


「それでは、各班で1つずつ、まさおとの思い出作り企画書を作って提出する事。いいな?期日は、時間がないから明日までとする。休み時間それぞれ班で集まって話し合う事。」
「企画書ってなに?」
「どんな事をしたいか、提案を書いて、それを行うにはこのように進めてゆくという提案書のようなものだ。」
「なるほど。分かった。」

何時の間に学君はこんなにリーダーシップを発揮する男らしい子になっていたんだろう?まるで僕たちなんかより何歳も年上の先輩に見えた。そして、学君の優れた統率力で、この時から5年3組のみんなが一つになっていた。

そして、タイミングの良いところで、朝礼の鐘が鳴った。

その、翌朝・・・

 1班、ドッチボール大会
 2班、水泳大会
 3班、各班対抗、運動会
 4班、野球大会
 5班、キャンプ&キャンプファイヤー

翌朝の学級会議で各班それぞれが企画を提案しあった。

学君が手際よく会議を進めて行く。


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