君の本気に触れた時…
住宅街の中にある一軒の家の前でタクシーが停まると、愛ちゃんを支えるために中城君も一緒にタクシーを降りた。

愛ちゃん1人くらい、彼1人でも十分に支えられるはずだし。

なにより、彼女にとって私は邪魔な存在だから。

酔っている彼女の介抱とはいえ…2人の寄り添う姿を視界に入れたくなかった私は、彼らを見ないように真逆の窓の外に頭を傾け外に目を向けた。

だけど、後部座席のドアは未だ開けられたままになっていたからすぐ近くにいる2人の会話は嫌でも私の耳に届いてきた。

今、私の目に映っているのは…嫉妬で醜く歪んだ自分自身の横顔。


「ほら、大丈夫か?ここ、段差あるから…気をつけて。」

「きゃっ…」

「言ってるそばから…だから言ったのに。」

「…ごめんね。」

「…じゃあな、おやすみ。」

「あ…まって、中城くん…。」


見てなくても、タクシーに戻ろうとした彼を彼女が引き止めたのは分かった。


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