クールな同期と熱愛はじめ

合コンなどに行っている暇はない。
というよりも、もしも行ったことが間宮さんの耳に入ったならば、地の果てまでも胡桃を追いかけるだろう。


「あ、そうだ。悠里さんに郵便物が届いていました」


岡田さんがディスプレイの上から、厚みのある封筒を差し出す。
それを受け取て見てみれば、差出人の名前がどこにもなかった。

誰からだろう……?
不審に思いつつ、慎重に開封する。

すると、中から出てきたのは“ABP~All Busines Person”という経済系の雑誌だった。

なんでこんなものが私に?
何度か読んだことはあるものの、購読を頼んだ覚えはない。

不思議に思いながらペラペラとページをめくっていく。
著名人やその時流に合った人にスポットあてたインタビュー記事、今後の各業界の動向などが書かれている。
なんとはなしに指を動かしていた私は、あるページで思わず息を呑んだ。
視力が悪いわけでもないのに、その雑誌を顔に近づけ食い入るように見る。

そこには、建築途中の建物をバックに建つ桜木くんが載っていたのだ。

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