部長が彼になる5秒前

新しくなったのは、環境も同じ。

私が勤める、"賢仁社"は、
文芸書や漫画、雑誌まで手掛ける大手の出版社だ。


中でも私の所属する制作部は、刊行される書籍の、内容やデザインは勿論、予算も想定し、
決められた範囲で、読者にとっての「最高の一冊」を届ける。



入社当初は、何も出来ない自分に、悔しい思いや辛い経験もした。
それでも自分達の仕事には、誇りがあったし、何より仕事に「楽しさ」があった。


ここまで充実感を持って、仕事が出来るのは、入社直後に出会った、1人の上司のお陰でもある。


その仕事に対する情熱があったからこそ、
この春 私は、制作部 雑誌企画課の
チーフマネージャーに就任した。
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