部長が彼になる5秒前

恋愛って、まず何から始めるんだっけ…。

5年も恋人が居ないと、そんな状態になる。




「まぁでも毎日ひっつめだった朱里が、
そんな髪型できるようになったんだから、

それだけでも進歩だと思うけどね。」


久しぶりの同期飲み会で、その相談すると
絢は、そう答えてくれた。


「髪型に関しては、水瀬部長のお陰だし…

今回ヒントをもらった分、次は自分の力で

本格的に恋愛記事を企画してみたいの。」


本音は、それだった。
今回、好評だったヘアアレンジの企画案も、
元を辿れば、水瀬部長の案なわけで。


頼れる存在だけど、なるべく頼りたくはない。


もうあの頃の新入社員ではないことを、
私の書いた記事で、証明させたい。


それが編集者としてのプライドだった。

< 35 / 139 >

この作品をシェア

pagetop