部長が彼になる5秒前
①"仮恋人"は、始業〜定時までは発効しない。
これは、お互いの業務に差し障りのないよう、すぐに決まった。その方が仕事に集中できるし私にとって有難い。
②記事に関して、水瀬部長は一切言及しない
これは私が提案した。
やはり、自分の力で恋愛記事を書くため、これ以上の部長の協力は避けたかった。
③お互い本当に"好きな人"が出来たら、
その時点で、この関係は終了させる。
部長からの意見だったが、当然、私もすぐに同意した。
「勿論、仮恋人じゃなくなったとしても、上司として頼ってくれて構わないが。」
部長は、最後にそう付け足した。
「はい、ありがとうございます。」
「じゃあ切るから、朱里、また明日。」
部長がまた私の名前を呼ぶ。