残された時間

『北野愛子。17歳。
よろしくお願いします。』

小さく呟いた。

「愛子ちゃんか。
幸助と同じ年だね。
よろしくしてあげてよ、愛子ちゃん。」

『はい・・・。』

あ。と声を漏らしながら
理沙さんは携帯を取り出した。

「愛子ちゃん、メアドと番号交換しよ。」

あぁ、そう言う事か。
と思いながら、あたしも携帯を取り出した。

携帯なんて見るの、何日ぶりだろうか。
とにかく携帯なんて見るのは、久しぶりだった。

赤外線で理沙さんと何故か幸助とも
交換し、携帯を直した。

『・・元気な二人が、どうして
病院なんかにいるんですか?』

疑問に思っていた事を、理沙さんに聞いた。

「あぁ。
ここの病院にお父さんが入院してるんだ。」

理沙さんの代わりに幸助が答えた。
すると、愛子ちゃんはどうしてなの?
と理沙さんに聞かれた。

『・・・・・』

「あ、ごめん。
聞いちゃいけなかった?」

なんとなく気まずい雰囲気になってしまった。

『癌です。あたし、癌なんです。』

「癌・・・・・」

『はい。
でも、たいした事ないんで。』

小さく笑いながら
理沙さんと幸助に言った。

「そっか・・・」

理沙さんは小さく呟いて、席を立った。
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