残された時間

えみちゃんが出て行き、
病室は重い空気で包まれた。

最近、思う事がある。
この二人は、あたしが居なくなっても
いいんじゃないかって。
あたしの顔を見ても、笑顔をむける事もない。
だからと言って、あたしは二人を嫌いな訳ではない。

「愛子、今日は
友達が出来たの?」

幸助と理沙さんの事か。

『うん。
二人とも、とてもいい人だよ。』

「そう。
よかったわね。
二人と仲良くしなさいね」

お母さんは小さく笑って、
お茶買って来るわ。と言って病室を出て行った。
続いてお父さんも、トイレに行くといって出て行った。

一人になったあたしは、
幸助と理沙さんにメールする事にした。

「『幸助っ。
愛子だよ。ちゃんと登録しなさいよ』」

最後に絵文字を付けて、送信ボタンを押した。

「『理沙さん、今日はありがとうございました。
また来てください。』」

送信ボタンを押し、携帯を閉じた。
急に睡魔が襲ってきた。

二人から返信が来るかもしれないけど、
あたしは寝る事にした。

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