義理じゃないチョコ、あげます。




「アキ、私ちょっと飲み物買ってくるよ」


「了解。いってら〜」




そろそろ試合が始まる、という頃。


なんだか落ち着かなくて、席を立つ。




一階には自動販売機があるはずだから、飲み物を買って、一旦そこで落ち着こう。


そう思って階段を降りた。












どうして私は、こんなにタイミングが悪いのか。




一階では、ミーティングが終わったばかりなのか、バスケ部の人たちが集まっていて。


1人、また1人と、コートの方へ向かおうとしていた。




もちろん、そこには。


シュウくんと……ヒロもいた。




逃げても、もう遅い。








「…あ」








目が合ったのは、シュウくんだ。


今は、2人には会いたくなかったのに。




慌てて、自動販売機のある方の曲がり角に身を隠す。


でもシュウくんに見られたから、ヒロにもバレているかもしれない。




心臓の音が、やけに大きく聞こえる。




…逃げない方がよかったかも。


思いっきり避けてしまって、罪悪感が募る。




私が平然を装っていれば、なにもなかったことになるんだから。


普通に挨拶していれば、よかったかも。




考えても、逃げてしまったものは仕方ない。








どうか気づかずに行って…!!







< 17 / 40 >

この作品をシェア

pagetop