悪い目覚め

愛徠side



「お兄ちゃん?」

と声と共に…悲鳴が聞こえた。
弟の部屋のドアから男が見え妹が見え
そして…生気を感じない弟の姿。

力なく座り込む妹に近づく男

頭では逃げろと危険だと信号を
送ってるのに体は動かない

目の前で弟が死に
今にも妹が殺されそうなのに
何もできない自分が憎い…

「っ…愛紅!!!!」

と叫ぶだけで必死

「お姉ちゃん…まだ死にたくない」

と私に背を向けて言う妹…

「だけど…もう無理だよ…

お姉ちゃん…バイバイ…
お姉ちゃんだけは生きてね」

と私の方に振り向いた妹の首は赤く染まり
涙を流しながら微笑む妹

そして…
次の瞬間ゆっくりと妹は床に横になった…

頭の中で何も理解できない

えっ?何で…愛紅?

ガサ…と言う男がたてた音でふっと
意識が現実に連れ戻された

羊は死んだ…愛紅も…

私は急いでその場を離れ
リビングがある1階に急いで逃げた。

カーテンをしててもわかるぐらい
外はもう明るくなっていた。

ちらっと時計をみればもう6時半過ぎ
時間が経つのがいつもより早く感じた
いつもならみんなで朝御飯を食べてる時間
もうあの頃には戻れない…。

外に逃げた方がいいってことぐらい
頭の中ではわかっていた。
外に逃げて他に犠牲者が出るくらいなら…
一人であの男に勝てるわけないことも
わかってた
だけど…この家から出たくない…
死ぬのならこの家がいい

後ろから男の足音がする

私は包丁を手に取り男と向き合った…




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