次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
妙齢の女性ってなんだかジジくさい表現だけど、言ってる事は間違ってない。
秘書という不規則な仕事を優先させてばかりいて、社会人になってから恋人はいない。もっと言うなら最後に合コンに行ったのだって2年前だ。

「すみません。でも気になってしまって」

「分かりますが、そんなでは駿介さんも更に心配性になってしまいますから」

ため息と一緒に言われると、腹立たしい思いがわいてくる。

31歳になる駿介にはお見合いの話だってわんさか来てるし、そんなモノに頼らなくてもイヤってほどモテるのに。

なのに「文香が心配で」を常套句にして結婚話から逃げてばかりいるものだから、周囲の心配がこちらに向いてしまうのだ。

「まだ26歳ですし、焦ってないんです。それに駿介さんは私の心配をするフリをして自分の結婚から皆さんの目をそらせてるだけで、本当に私を心配してるわけじゃないですよ」

ホント、私の方がため息をつきたい気分だ。

「駿介さんも蔵本さんも人の事ばかり言わずにさっさと良い相手を見つけて社長を安心させて下さればいいんですよ」
< 11 / 217 >

この作品をシェア

pagetop