次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
5年間外資系金融機関で働いた後にグループを統括するこの國井商事に入社。大学在学時にMBAを取得した程の頭脳と5年間で得た実績、人を惹きつけるカリスマ性はいきなりの部長職で入社の御曹司待遇でも誰にも文句を言わせなかった。

自他共に認める、次代の一族の長。

それはもう、憧れるのさえおこがましくなるほどで。一族の傍流の娘でしかない私は、駿介がその才能と魅力で認められていくのを只々見つめているしかなかった。

そう、今もそれは変わらない。ただみつめてるだけで‥‥‥

「おい!おいって!文香、お前、目開けたまま寝てるのか!?」

間近から聞こえる声にハッと我にかえる。いつの間にか、自分の思考に深く沈んでいたらしい。気付けば目の前に呆れたような顔があった。



‥‥美形は呆れた顔さえ綺麗なんだ。


惚けた思考回路のまま見つめ返したら額にピシリと痛みが走った。

「って、痛いよ!仮にも女性の顔にデコピンするなんて、傷が残ったらどうしてくれるのよ!」
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