次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「それで、駿介に?」

「ああ、帰る前に俺の部屋に来て教えてくれた。その時、ちょうど槇村室長も常務室にいてな」

「あっ‥‥‥」

岡崎取締役のお見合い話も報告してくれたんだろう。槇村室長も幸恵さんも、私の事を心配してくれてたんだ。

「で、土曜日に電話したら、やっぱり文香は様子がおかしい。俺は間怠っこしいアプローチやめて文香に交際を申し込もうって決心したっていうのに、会う約束さえ拒んで、週明けには話があるとか言い出すし。で、文香が会ってた小太りで派手なババアは誰か、色々考えて予想したんだ」

「小太りで派手なババアって‥‥‥幸恵さんはそんな口が悪くないよ」

そんな言い方は絶対してないはずだ、と軽く睨んだけど、駿介は「要約したんだ」と肩をすくめただけ。

「で、急いで睦子叔母さんと敏彦を呼び出したのに何でか叔母さんしか来ない。のらりくらりと話をかわした挙句、敏彦は婚約者とデートだとかぬかす。こないだのパーティで敏彦がお前に興味持ったのは分かってたし、あいつが顔が効くのはランドホテルくらいだからな。ホテル中のレストランに敏彦が来たら教えるように連絡したんだ」

「なるほど‥‥‥」
< 209 / 217 >

この作品をシェア

pagetop