次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
ちょっとだけ強気に言ってから駿介を見たら、ニヤリと笑ってからデコピンされた。

「痛いって!もー!」

「そんな偉そうな事言えるなら、もう大丈夫だな?店に入ろう」

くくっと笑って車から降りる駿介に、私も急いでシートベルトを外した。


きっと駿介はこのお店が私の中で嫌な思い出にならないように、話をしてくれたんだろう。実際、私の中は誕生日会に欠席するように言われた記憶より、國井の家族に大切にされているって事実の方が大きくなっている。

今ならこのお店も、お店での時間も心から楽しむ事が出来ると思う。

「さーて、今日は何を食べよっかなあー」

駿介の心遣いに嬉しくなった私は駿介の小さな声を聞き逃してしまった。



「見つけては、いるんだ」





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