次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「友達ってこないだ個展で会った子か?」

「はい。金曜日は、会食などの予定もありませんし、ご許可頂けるなら行きたいのですが」

駿介と会話しながらスケジューラーを確認する。今週は急ぎの仕事もないし、面会も少ない。週末に早く帰る事は可能なはずだ。

ちょっと必死な視線が伝わったのか、表情を緩めた駿介が小さく頷いた。

「そうだな、行って来るといい。俺は用があって行けないから、夏希さんによろしく伝えておいてくれ」

わぁ!と喜んだのが顔に出てしまったのだろう。

「その顔、秘書のする顔じゃないな。次は2人っきりの時に見せてくれ」

ニヤリと笑った駿介が私の耳元に顔を寄せて囁いた。

耳にかかる甘い声と暖かい息が場違いに色っぽくて、私はバッと体ごと顔をそらせる。
心臓はバクバクしてるし、顔は耳まで真っ赤なまま。呆然と駿介を見つめて固まってしまった。

そんな私の反応に満足したのか、駿介は片方の口角を上げて自分の執務室へと戻って行った。
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