冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
序章
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 焼きたてのパンが入った籐のかごを、テーブルの真ん中に置く。
 フィリーナは、ワゴンに載せて持ってきた皿を二つ同じテーブルに並べた。
 金縁のあしらわれた皿には、ころんとした鹿肉に褐色のシチューが照る。
 平和で比較的裕福なバルト国でも、朝から手の込んだ料理が出てくるのは、この王宮の中くらいだろう。
 水とグラスをともにテーブルに置くと、フィリーナは白いエプロンの腹部で掌を重ね、軽く会釈をしてからそこを離れた。

 東向きの窓から差し込む輝かしい朝陽のおかげで、広間はより煌びやかに見える。
 夜になると明かりを灯すシャンデリアは、夜からの目覚めを躊躇うようにチラチラと小さく朝陽を受けている。
 その下で、広間の中央に置かれた長いテーブルの最奥に着くのは、朝陽よりも神々しい二人の王子の姿だ。
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