冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
薔薇の香り満ちる胸から、不満そうな声が直接聞こえてくる。
「この滑るような頬と、小さく柔らかな口唇の他は……どこにあれの手は許されたのだ」
「ディオン様……?」
「この清い身体の、どこを……」
密事と言ってしまったからなのだろうか。
フィリーナとグレイスの何を想像しているのか、この歳にもなればわかることを考えると、恥ずかしさに顔が火を吹く。
けれど、わざわざ確かめられる言葉の裏側が見えて、自惚れが思わず口を開かせた。
「嫉妬、してくださるのですか……?」
顎に長い指が掛けられ、上を向かされる。
その先では、漆黒の瞳が切なげな光をそこに揺らしていた。
「他の男に触れられることが、こんなに歯がゆいとは、思わなかった」
ディオンの狂おしげな言葉に、心臓が壊れそうな音をかき鳴らす。
心に溢れ返る想いが苦しすぎて、わずかな強張りが抵抗を見せてしまった。
「私に触れられるのは、嫌か?」
ディオンの傷ついたような眼差しに、胸がきゅっと苦しくなる。
決してそうではないと頭を振り、震える口唇で素直な気持ちを伝えた。
「この滑るような頬と、小さく柔らかな口唇の他は……どこにあれの手は許されたのだ」
「ディオン様……?」
「この清い身体の、どこを……」
密事と言ってしまったからなのだろうか。
フィリーナとグレイスの何を想像しているのか、この歳にもなればわかることを考えると、恥ずかしさに顔が火を吹く。
けれど、わざわざ確かめられる言葉の裏側が見えて、自惚れが思わず口を開かせた。
「嫉妬、してくださるのですか……?」
顎に長い指が掛けられ、上を向かされる。
その先では、漆黒の瞳が切なげな光をそこに揺らしていた。
「他の男に触れられることが、こんなに歯がゆいとは、思わなかった」
ディオンの狂おしげな言葉に、心臓が壊れそうな音をかき鳴らす。
心に溢れ返る想いが苦しすぎて、わずかな強張りが抵抗を見せてしまった。
「私に触れられるのは、嫌か?」
ディオンの傷ついたような眼差しに、胸がきゅっと苦しくなる。
決してそうではないと頭を振り、震える口唇で素直な気持ちを伝えた。