冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「今日は珍しいことをしていたな」
吸い込まれそうな碧い瞳。
二度目になる声掛けに、息が詰まるほど胸の鼓動がやかましい音を立てて弾ける。
「何か動揺するようなことでもあったのか?」
首を傾げる麗しの王子様。
耳の奥で鳴る脈の音がうるさくて、まろやかな声は少しい遠めに聴こえた。
「何も怒っているわけじゃあないんだ」
整った眉を下げて口の端で笑うグレイス王子に、フィリーナは固めていた身体をなんとか解し、やっとの思いで口を開いた。
「あっ、あのっ、わた、わたくしは……っ」
「少しだけおしゃべりに付き合ってもらえるか」
「は、はいっ、御意にっ!」
目が回りそうな状況に、騎士のような堅苦しい物言いで返事をしてしまった。
「僕のような中途半端な地位の人間にでも緊張してくれるとは」
く、と堪えきれない笑いを零して、グレイス王子はしっかりとフィリーナを見つめた。
碧い瞳に見据えられ、ますます動悸が激しくなる。
吸い込まれそうな碧い瞳。
二度目になる声掛けに、息が詰まるほど胸の鼓動がやかましい音を立てて弾ける。
「何か動揺するようなことでもあったのか?」
首を傾げる麗しの王子様。
耳の奥で鳴る脈の音がうるさくて、まろやかな声は少しい遠めに聴こえた。
「何も怒っているわけじゃあないんだ」
整った眉を下げて口の端で笑うグレイス王子に、フィリーナは固めていた身体をなんとか解し、やっとの思いで口を開いた。
「あっ、あのっ、わた、わたくしは……っ」
「少しだけおしゃべりに付き合ってもらえるか」
「は、はいっ、御意にっ!」
目が回りそうな状況に、騎士のような堅苦しい物言いで返事をしてしまった。
「僕のような中途半端な地位の人間にでも緊張してくれるとは」
く、と堪えきれない笑いを零して、グレイス王子はしっかりとフィリーナを見つめた。
碧い瞳に見据えられ、ますます動悸が激しくなる。