空ーsky-
『帰り道』
「ねえ、楠木ちゃん俺もさ結月ちゃんって呼んでいい?」

帰り道、海堂君の自転車と私の自転車でゆっくりと遠回りにもなる大通りを通って帰った。もちろん彼は私の家を知らないので私が前で。

「えっ?」

「兄貴が結月ちゃんって呼んでるの聴いて、なんかさ。俺のことも彩斗っ呼んで構わないからさ」

あっそっか。さっき話してる時に海堂君って私が言うたびに春さんが返事してたように感じたのは気のせいじゃなかったんだ。そりゃ、春さんも言ってみれば海堂なんだもんね。

「分かった、彩斗君」

「じゃあよろしく、結月ちゃん」

あっという間に家のすぐ前まで来ていた。

「彩斗君、もう家すぐそこだから、もういいよ」

「あっそう?じゃあ、気を付けて」

「うん。おやすみなさい」

「おやす……あっ明日は学校来る?」

「……ごめん。多分行かない」

「そっか。……じゃあ、おやすみ」
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