誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策
朝食を摂ってから、洗面所に立つ。

髪を梳かすけど…



(前髪伸びてんな…)



眼に掛かる前髪を摘まむ。

普段テキトーだから気付かなかったけど、気付いてしまうと鬱陶しい。



(今更切れないしなー…)



掻き上げてみたり、サイドに引っ張ってみたり、梳き下ろしてみたりするけどしっくり来ない。

こんなことならちゃんと切りに行っとけば良かった。



腕時計に眼を遣る。

そろそろ出掛けないと…



とりあえず濡らした掌で掻き上げておくと曲に沿って流れて眼には掛からなさそうだ。



(よし、行くぞ…!)



洗面所を出て、玄関でコートを羽織り、靴を履く。

そんな一連を母がまた物珍しそうに眺めていたけど…



「行ってきます。」



気付かないふりで俺はバッグを引っ掴み、ドアを開ける。

昇ったばかりの朝陽と冷気に包まれ、俺は…



君に、逢いに行く。
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