カレシとカノジョ。

「とても優しい顔をしているのぉ」


その言葉で現実に引き戻された


「…え?」


「彼女さんは、幸せに者じゃのぉ」


…っ!


「違うんです…おばあちゃん…
俺は、優しくなんかなくて…雫もっ!俺のせいで…っ」


「そんなことはないと思うがのぉ…
誰かにこんなにも思われていて幸せに感じぬ人はいないと思うがのぉ」


違う、俺は雫を幸せになんて出来てなくて…


「守る覚悟を決めたから、また来たのじゃろぉ?」


「っ!」


そうだ、

弱気になってどうするんだ



俺が雫を守れなかったのは事実で、

雫は、俺といない方が幸せなのかもしれない


だけど、
俺はやっぱり雫が好きだ。

雫にもう一度、倫くんと呼ばれたい
俺にもう一度、笑いかけてほしい


そのために俺は

雫にこの花を贈るよ


思い出してもらえなくても、
もう一度俺と恋をしてほしい

それで、今度こそ、

雫を絶対に守るんだ
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