再会からそれは始まった。
プロローグ
女の子の前では、いつも怒ったような顔をして無表情だから、彼のことはすごく苦手だった。

しかも、クラスの中でもダントツ背が高くて、ガタイも良く、他の男子と比べても大人っぽくみえた。
彼にとって学ランはその分厚い胸板には窮屈なようで、いつも上のボタンを二つか三つ開けて学生服を着ていた。
その姿は、どこかの番長みたいで、圧倒的に迫力があった。
彼は、アメフト部で、いつも彼の周りには、常に体育会系の汗臭い男子たちばかりが囲んでいて、女の子たちにとっては近寄りがたいグループにいた。

一緒に、図書委員をやることになったのに、やりにくくて仕方がない。
気が進まないのはわかったけど、くじ引きで決まったんだから仕方がないじゃない。
私が話しかけても、いやそうに面倒くさそうな態度で後ろから図書室についてくる。

男の子たちとは、ばか笑いしながら楽しそうに話していたりするのに、この人、女の子がキライなのかしらね?

それとも、本なんか読まない?
確かに、休み時間も常に外へ出てバスケットやサッカーを汗だくになってやっていたし、雨の日でさえも教室の後ろで相撲やプロレスみたいなことをやっていた。
本を読む人種には見えないもんね。

図書委員会の仕事は、週一回の本棚の整理。クラスで、期限までに本を返却していない人のリストを作り、返すように呼びかけをする。 二か月に一回、図書室に新刊を追加するための意見交換。など。

委員を一緒に始めて、そんなイメージとはかけ離れて、実は彼がかなりの読書家だという事に気が付いた。
自分から積極的に意見を言ったりするわけではないけれど、話題に出た本はたいてい既に読んでいて、話をふられれば答えていた。

私は彼といろんな本の話をしてみたいと思って、何度か話しかけてみた。
でも、私の問いかけにはほとんど無視。
多分、私のことキライなのかも。

そう思うようになって、ますます近づきにくい。 そして、なんだか怖い。

私、彼のこと、苦手かも。
そう、友達に言ってみると、他の女の子達も声をそろえて「私も!」と言う。

みんな同じように感じていた。彼について。

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