再会からそれは始まった。

金沢SIDE
 
残業が終わって地下鉄の方向へ歩いていると、後ろから肩をたたかれた。

振り向くとボスだ。

「うっわ!ボス! 地下鉄で通勤してるって噂は、本当なんですね!」

「おまえは、あることないこと言ってるだろ。 磯崎花に。」

「え?なにを?ですか?」

なぜだか、ボスと一緒に並んで駅まで歩くことになる。

「金髪女と結婚するだとかいろいろだよ。」

「はは。ま、みんなそんな事言ってたんで。。。」

ボスはぎろっとにらむ。 僕は、ひええええというような感じで震えあがる。

「あ、あの! しかしですね、ボスくらいになると車通勤がいいんじゃないですか? こんな下々のものと一緒に地下鉄のラッシュにゆられなくても。」

なんとか話をごまかそうと、その場をとりつくろってそんなことを言う。
ボスがそんな僕の様子をみて笑い出したから、ちょっとホッとする。

「それより花さんから聞かれたんですか? その僕が言ってたって。」

「ん?ああ。」

「花さん、最近ちっとも相手にしてくれないんだよなあ。仕事忙しいのかな。」
とひとりごちる。

「・・・・・・。」

沈黙が怖い僕は、話をふってみる。
「ちなみに、どこの駅まで乗られるんですか?」

「おまえ、また言いふらすだろ。」

「いやいやいやいや。」
とめっそうもないといった感じで首を振る。

ボスは、また笑い出して、低い声でぼそっと言う。
「中目黒」

「あ、花さんと同じですね。」

「ああ、一緒に住んでるからな。」

えええええええ?!
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