再会からそれは始まった。
「それに、金髪の人と結婚するんでしょ?」

俺は大きくため息をつく。
「しないってこの間言ったじゃないか。」

「じゃあ、他にもいるでしょう?ふさわしい人が!」

どんだけ近くにいたって、こんな風に伝わらないことばかりだ。

「それに、私英語しゃべれないし。」

「お前のその天性なら、言葉通じなくても十分やっていける。」
俺は笑う。 本当にそう思うからだ。

「私にだって仕事あるし。今の事務所好きだし。日本が好きだし。寿司も食べたいし!」
花は、両手のこぶしを握って、俺を見上げて顔を真っ赤にして反論する。

俺は、花を抱きしめる。

「わかってるよ。それでも、来てほしいって言ってるんだ。」

ワッと花が、俺の腕の中で泣き出した。

ゴメン。 本当に自分こそアホだと思う。

ぎゅうっと花を抱きしめる。
「好きだよ。花。」

結局俺の完敗だ。
なんで、俺にこんなこと言わせるかな。

花は、鼻水と涙でぐちゃぐちゃな顔になりながら、ビックリしたような目で俺を見上げる。

「お前、その顔をどうにかしろ。」
俺は吹き出す。 本当にこいつは色気も何もあったもんじゃないよな。

「帰るぞ。」
俺は、照れくさくなって花の手を引いて歩き出す。

花はごしごしとボーダーのTシャツの袖で目や鼻を拭いて、俺の手を握り返し後についてくる。
「ね、今、なんて言った?」

「知らん。」

「もう一回。」

「あ?」

「もう一回言って。」

「いやだ。」
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