再会からそれは始まった。

秘書 松山 side


紙袋を渡した時、南さんは中身を見て一瞬怖い顔をした。

すぐあのポーカーフェイスに戻ったけれど、私はその反応がおもしろくて仕方がない。

でも、結局、彼の真意はつかめなかった。

誰とでも打ち解けられる磯崎花の才能は、南さんにも十分通用したということかしら?

それで、ついあの52階の住居に彼女を入れてしまったということ?

自分のシャワーを使わせて、パジャマまで貸してしまうくらいの友情ってこと?

もし、磯崎花ではない誰かが万が一そうなったとしても、彼のことならタダでは帰さない。
絶対に手を出しているはず。

だったら、やっぱり彼女の言う通り、彼は磯崎花のことを女としては見ていないのかもしれない。

ああ、わからないわ。




けれど、南さんのあんなに笑った姿は、初めて見た。

磯崎花が現れてから、彼の知らない部分を知ったり、見たりすることができるようになったという事実は間違いない。





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