冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 心の奥底から、掃除をしたいという気持ちが沸き起こる。
 副社長の汚い部屋を見て初めて、自分が“キレイ好き”だったことを知った。

 気持ちが高ぶって、つい強い口調で話してしまった。
 生意気な発言をして謝るべきなのかもしれないけど、なぜか引く気にはなれない。

 副社長は、目を丸くして私を見ている。


「わかったよ。掃除道具は廊下のクローゼットに入っているから……」


「了解です。副社長はソファに座っているか、他の部屋で待っていてください」


「ここで待っていることにする……」とぽつりとつぶやくと、ソファの端に身体を寄せた。

 できるだけ邪魔をしないようにと思ったのだろうか。
 肩身が狭そうにしている様子がまるで子供のようで、可愛らしく見えた。

 
 少しほっこりする反面、副社長のお世話は思ったより大変かもしれないという不安が募る。

 他の部屋は散らかっていませんようにと願いながら、リビングを出て廊下のクローゼットを開けた。
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