葛城社長と運命の恋を始めます
帰ってきた両親に、あの時、私に輸血をしてくれた人が花を買いに来た事と、食事に誘われた話をすると。


母は目を輝かせて、あの素敵な男性がこの店に来たことをすごく喜び、しかも、私が食事に誘われたことに舞い上がっていた。



私は嬉しくないし、お礼に食事を私が誘うならまだしも、向こうが食事に誘うのはいかがなものかと思う。



謎だ。


謎過ぎて怖い。


お礼に身体を差し出せとか言われたら。


どうする。


行きたくないよ。


父さんが夕方葛城コーポレーションの社長が来たら、どういうつもりではなを食事に誘うのか聞いてくれると言った。


葛城コーポレーションは結婚式場やゴルフ場、ホテルやビルを数多く持っている、大会社なのだから、おなしな事を考えてはいないと思うと父は言う。


おかしな事って何よ。


母は呑気に、きっとはなを気にいって嫁にほしいとかではないの、なんて言ってるけど。


私は美人でもないし、可愛いくもない、至って普通の容姿。


頭も普通で大学もごくごく普通だ。


服装も地味だし、化粧も薄いし、アイラインもマスカラもしていない。


化粧する暇があれば眠っていたいわけで、休みも店の手伝いがあるから、何処にも出かけれないのだ。


友達も少ない。


こんな何処にでもいる容姿の私を社長が気に入るとは思えなかった。


夕方両親が戻って来ると、直ぐに秘書の葉山さんが現れ、父と話している所へ、葛城社長が店に入ってきたのだ。


絵になる人だなぁと思っていると。


「父上の了解を得たので、まいりましょうか。」


そう言って社長は私の手を取った。


一応、ふだん着ないワンピースを着て、化粧もしたし、ボブの髪にドライアーをかけて整えてみたけど。


決して可愛くはない。


「そのワンピース、よく似合ってますね。髪も可愛いです。」


髪の毛をそっと触る。


もう、ダメ、このまま倒れそう。


恋愛なんてしたことがないし。


男性と出かけた事もないから。


天パっていた。


父さんが葛城社長はりっぱな人だから、心配ないと言う。


楽しんで来なさいと。


楽しめるかは分からないけど、少しだけドキドキ感を感じた。


恋を知らない私がいつか恋する日が来るかもしれない。


葛城社長にエスコートされながら、その日はもしかしたら近いのかも知れないと思った。









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