俺様狼と化け猫
俺は足を曲げ、倒れている真浪凜華の
頬に自分の手を滑らせる。
普段なら触れられるのも嫌なほど
女は嫌いなのに…この女だけは違った。
「真浪凜華って確か…」
その時、少しだけ開いた瞳からは
今まで見てきた死人の目に似ていた。
この世界で生きてきて見てきた目…
だけど、こいつだけは死なせたくない
そう思っていた。
そして確信した。
「見つけた」
俺と運命を共にする女…
こいつが俺の人生で欠けてはいけない
唯一無二の存在…
「おい、行くぞ」
「い、行くってどこに!」
「俺の家に決まってんだろ
熱がある…三原をよんでおけ」
車に乗り込み、膝に乗せた真浪凜華を
眺めていた。
運転席に乗っている俺のもう1人の側近である
相楽秋芭は目を見開きながら見ていた。
「若、その人は…」
「俺の女だ」
「それガチで言ってるんですか若頭殿」
慌てて車に乗り込んできた柚希は
見たことのないまじめな顔で俺をみていた。