幼なじみの秘め事
「早川くんってあんな顔するんだー」

「アイドルオタクってほんとだったんだ」

「愛望羨ましいー」

「愛望の頭なでるなんて」

「早川ずりーよ」


そんなクラスメイトの声があたしにはたくさん聞こえた。


アイドルのことで喜ぶのはいつものこと。
なにも特別なことじゃない。
でも、いままでみんな知らなかった。
あたしだけが知ってたことだったのに。


「心羽?」


美愛があたしの肩を叩く。


「ん」

「なんか心ここにあらず?」


あたしの顔をのぞき込む。


「そんなこと、ないよ」


あたしは弁当箱を開ける。


「いままでさ大翔くんと話す女子って心羽ぐらいだったよね」

「そうだね」


あたしはお弁当を食べながら答える。

なにも考えないようにしたかった。
いろんなことが変わってきてるのを
気づかないようにしたかった。


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