サトウ多めはあまあまデス
第12話 周りの気持ち
 朝起きるとケイちゃんは既に起きていて朝ご飯を用意していた。

 昨日に今日で少し気恥ずかしいけれど
「おはよ」
 と挨拶をして自分から抱きついてみた。

「あ、あぁ。おはよ。ココ。今日も可愛いな。」

 ケイちゃんは棒読み気味なセリフをこぼして頬に軽く唇を触れさせた。

「ほら皿からオムレツが落ちる。」

 迷惑そうなセリフのこっちは本音っぽい。

 やっぱりハグもチューも可愛いって言葉もしたいわけでも本心でもないんだから…。

 そう思うけれどケンカしたままの険悪な雰囲気よりもこっちの方がずっといい。
 とりあえずはいつも通りな朝にまいっかと思うことにした。

「ママとさぁ。話ができたらなぁってたまに思う。」

 つい口から出た願望にケイちゃんが呆れているのが分かる。

「ココってちょいちょい発言が頭にお花畑が咲いてるよな。」

 お花畑…。ものすっごく馬鹿にされてる。

「そんなことないもん。無理なのは分かってるんだけどさぁ。」

 直接相談したいことだってあるのに…。

 ケイちゃんに相談もなんだかしにくいんだよね。
 急にお兄ちゃんできたんだけどどうしたらいいと思う?なんて本人に聞けないし。
 パパはあてにならないしなぁ。

 先に食べ終わったケイちゃんが席を立ってそのまま頭をグリグリしてきた。

「今日からやっぱり俺バイト休むから。」

「え、ダメだってば!私は大丈夫だから。ちゃんと早く帰るし。行き先もケイちゃんに言っていくから!それに今日は昨日のお詫びにみんなに奢るねって約束しちゃったし。」

 お金も払わずに急に帰った謝りLINE。

 その「次は私が奢るから!」っていうのが今日になった。

「ココはココで好きに出掛ければいい。俺は家にいるから何かあれば連絡して。」

「でも…。」

「いいから。俺は好きでそうするんだ。」

 取りつく島もなさそうなケイちゃんに納得できないけれど反論もできなかった。
< 50 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop