サトウ多めはあまあまデス
「ねぇ。心愛ちゃん!待ってってば!とりあえず入ろう!」

 後から追いかけてきてくれた優ちゃんに手を引かれファーストフード店の奥に座った。

「ゴメン…。せっかくの食事中だったのに。」

「いいってば。何か買ってくるね。心愛ちゃんは?」

「私はいいや…。」

 なんとかそれだけ言うとギュッと手を握って俯く。

 どうしたって言うんだろう。バイト先のココちゃんに会ったって別に構わないのに…。

 グルグル回る思考は自分でも理解できなくて答えを導き出せずにいた。

 フッと差し出されたコップ。それは冷たいのだけどカフェオレ。
 見上げると優ちゃんがニコッと笑いかけてくれた。

「心愛ちゃん好きでしょ?」

 優しい心遣いに昨日の四つ葉のクローバーのラテアートをしてくれたケイちゃんと重なる。
 ギュッとコップを握りしめると後から後から涙が溢れてきてしまった。

「う…うぅ。」

 泣いている私に何も言わずに優ちゃんはずっと側にいてくれた。

 黙々とハンバーガーをかじってるのが優ちゃんらしい。

 落ち着いてきた頃に優ちゃんの穏やかな声が私にかけられた。

「心愛ちゃんはケイちゃんが好きなんだね。」

 その言葉は私の心にストンと落ちてきた。
 スキナンダ。ケイちゃんのこと。

「それは…。」

「分かってる。分かってるから。難しく考えないで心に素直になってみて。
 私も言わない方がいいのかなって思ってたけど…。
 きっと心愛ちゃんは自分の気持ちが分からなくてモヤモヤしてるんだよ。だから自覚した方がいいと思う。」

 自覚しても辛いだけかもしれないけど…。

 でも今の心愛ちゃんはきっと自分で自分を否定してる。それってきっともっと辛い。

 優奈は心愛を思ってギュッと手に力を込めて心愛の返事を待った。
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