サトウ多めはあまあまデス
「そういえば。俺、結婚するんだ。」

 珍しく大人しかった翔くんがかしこまって口を開いた。

「えぇ!?本当?」

 みんなの視線を集めて照れている翔くんが新鮮。ふざけてるところしか見たことないかも。
 そんな翔くんが緊張さえしてるように見える。

「大学の頃からの彼女で。心愛への愛情も理解してくれるいい子なんだ。」

 ヤダ。そこ基準って彼女は大丈夫なのかな…。

 余計な心配をしてしまう私だったけど、翔くんの照れた幸せそうな顔を見ると、そんな心配は必要なさそう。

「なんだよ。心愛が大事とか言っといてさ。」

 ルーくんが不満たっぷりな顔でふてくされている。

「ルーくん。実は翔くんが結婚しちゃうから寂しいんでしょ?」

 私がからかうとルーくんはますます不満そうに頬をふくらませた。

「んーなわけあるか。俺は心愛と結婚するから平気。」

「だからしないから!」

 ルーくんはプイッとそっぽを向いた。

 そんなこと言って、本当は翔くんが結婚して寂しいんだろうな。なんだかんだ言っても仲良し兄弟でうらやましかったもん。


 ふいにギュッと抱きしめられてドキッとすると、隣のケイちゃんがいつの間にやら私に腕を回していた。

「俺はずっとココの側にいるから大丈夫。」

 えっ…と。

なんて言えばいいのか言葉に困る。

 でも…。きっとそうだ。私はそれを心配して寂しく思っていたのかも。

 ケイちゃんが…誰かと…結婚してしまったら。結婚まで行かなくても大切な人ができてしまったら。って。

 黙っている私に再びケイちゃんは欲しい言葉をくれる。

「俺はココだけだ。ココだけが大切だ。」

 こんな言葉に喜んでいいのかな。

 そう思いつつも回された腕にそっとしがみついた。
< 99 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop