冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
ふっと口もとを緩めた由佐さんにドキッとした。
いちいち気にして、彼の言動に気持ちが揺れてしまうのは、出会ったときの彼ではなく、意地悪な彼に惹かれているから。相手を知れば知るほど、その魅力にドキドキしている。

絶対、言えないけど。だってわたしは、由佐さんを好きになるわけがないって本人に宣言してしまったんだから。いまさらどんな顔をして『好き』なんて言うの? やっぱり本気になっていたんだなって、わたしの気持ちを馬鹿にするに決まっている。

だったら言わずにこのまま上司と部下で、由佐さんにドキドキしているだけのほうがいい気がする……。

そんなことを考えていると、上着のポケットに入っていた携帯を見ていた由佐さんがこちらに顔を向けた。

「なぁ、昼飯食べた?」

「いいえ、まだですけど」

「それなら一緒にカフェで食べよう。あそこのコーヒーとサンドイッチうまいよ」

えっ……!? なんともない感じでさらっと誘われたから、ぽかん、と由佐さんを見てわたしは固まってしまった。

「嫌? 俺と一緒だと意識して無理?」

「なっ、なんで……別に平気ですよ!」

「じゃあ、行こう」

ソファから立ち上がった由佐さんは、そのまま給湯室を出ていく。ああもう、上手く乗せられている気がするんですけど!
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