霞村四丁目の郵便屋さん
彼女が緊張していたのは手に取るようにわかった。
初めは顔をこわばらせ、心なしか顔も青ざめていたからだ。

でも今の彼女は、頬をほんのりピンクに染め、口元も緩んでいる。


「いや、そんな……たいしたことはしてないから」


突然お礼なんて言われ照れくさくてたまらない俺は、不自然に目をキョロキョロさせてしまう。


「ううん。瑛太くんがいてくれてよかった。あっ、バスが来てるよ」


駅が見えてくると、俺たちの乗るはずのクリーム色に緑の線が一本入った小さなバスがもうバス停に停まっていて、みやびが声を上げる。

でも俺は『瑛太くんがいてくれてよかった』というみやびの言葉が気恥ずかしくて、彼女の方を向けなかった。


「はー、ギリギリセーフだ」


彼女と一緒にバスに飛び乗り、ホッと胸を撫で下ろす。
こんな雨の日に一時間待ちはさすがにきつい。


「発車一分前だ。ホント、ギリギリだったね」


彼女は腕時計を確認して、無邪気な声を上げている。
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