霞村四丁目の郵便屋さん
写すのは諦め黙々と答えを書きこみ始めると、純一は自分のプリントに俺の答えを写しはじめる。


「なぁ、高いぞ」


俺が言い返すと、純一はまたニタッと笑う。


「そう言うなよ。情報教えてやるからさ」


だからお前はさっきからなにを言ってるんだ。
ちょっとイライラしつつ、男の会話なんてこんなものかとも思う。

言葉の隅々まで――いや、ときに顔の表情まで――その意味を読み取らなければならない女子の会話とは違い、男子の会話は大事なところだけ伝わればいい。

まぁ、純一の場合、その大事なところが伝わっていないんだけど。


「で、なんの情報だよ」


どうせ新しく出たゲームのキャラの話だろうと思って聞けば、「お、やっと気になりだしたか」と純一がつぶやくので、どうでもいい気分になる。


『気になりだした』なんて、純一に負けた気がして癇に障るんだよ。
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