君が残してくれたもの
君が恋しい
桜樹、ヒントちゃんと受け取ったから。
思い出せて、よかった…


桜樹が、ここにいたことを。

みんなで一緒に過ごしたあの日々を。

なかったことにならなくて、本当によかった…


樹里の手からそっと離れて、雨が降る中、私は走り出した。


「ちょっと!なずな、傘は?どこ行くの」


樹里は心配そうに私を見ている。

いつだって、樹里がこうやって私を心配してくれる。

めいいっぱいの笑顔で、


「大丈夫だよ。自分の言葉で、伝えてくる」


そう言って軽やかにスタートしたけど…

すぐに息切れしながら、最近の運動不足を反省している私…


雨はどんどん私に降り注ぐけど、私は足を止めない。

止められない。

早く、早く…

追いつかなきゃ。
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