イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

遠子はフフッと笑って、それから槇家、久我山家、双方の親戚一同の輪の中で、おいおいと泣いて、亜子に慰められている和美を見つめた。


「パパ大丈夫かなぁ……」
「お前が幸せならそれでいいんじゃないか」
「うん……そうだね。じぃじになるのも楽しみにしてるみたいだしね」
「まぁ、俺はもう少し先でもいいかな……お前とふたりの生活をもう少し楽しみたいし」


直倫はそう言って、遠子の肩を抱き寄せる。

そういえば、もうすぐ直倫の誕生日だ。
いつも彼にしてもらってばかりで、なかなかプレゼントをする機会がない遠子なので、ここぞとばかりにおねだりをしてもらいたい。


「ねぇ、直倫。今ここで聞くのも変だけど、なにか欲しいもの、ある?」
「あるよ」
「なに? 何でも言って」


首をかしげると同時に、直倫の顔がそっと近づいてくる。


「お前の心。未来。全部だ。一生をよこせよ。俺はずっと昔からお前のものなんだから――。責任とれよ。トーコ」


責任をとれなんて、若干脅されているような気もするが――。

こんな形の脅迫なら、悪くない。


「いいよ」


遠子は笑って。


「……じゃあ、まずキスから」


そしてゆっくりと、目を閉じた。

胸にはキラキラと、直倫の作ったペンダントが輝いていたーー。




「私の事、あきらめてください!」完結


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