イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

だったら自分も遠子に好かれるよう白臣を見習えばよかっただけの話なのだが、幼いころからいざ遠子を目の前にすると、思ってもみない言葉がポンポンと口を突いて出てきて、嫌われる一方だった。


(ブスだのなんだのかなりひどいこと言ったもんな……)


ぐっすりと眠る遠子の顔をじっと見つめる。


遠子のことになると冷静になれない。

こうすればこうなるだろうという予測もできなくて、いつも空回りして、過去何度も遠子を悲しませたり、驚かせたり、泣かせたりした。

その時は死ぬほど悔やむのに、それでもうまく愛せない。

世界で一番愛していて、世界で一番大事にしたいのに、自分に振り回される遠子を見ていると、申し訳なくて、いつか捨てられるのではないかと気が気じゃなくなる。

遠子はいつも直倫のことを「謎の上から目線」というが、おそらくそうやって自分の精神を安定させているのだ。


(俺は子どもなんだろうな……どうしようもなく)


そっと手を伸ばし、遠子の頬にかかる髪を指で払いのける。


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