Amour couleur~色をくれた君へ~
手紙
俺宛の手紙だ。

だが、

送り主の名前に覚えが無い。


ー木嶋 菜留(きしま なる)


「おはよー成宮」
「おはよ。」
高校一年の三学期。もうすぐ期末が始まる。二年になるためには、特に重要なテスト…だけど、だからと気合が入るかっていたら…
「はいるわけ。」
「だよなー」
水沢は、大あくびをした。
「なぁ、成宮はさ、恋とかどうなのさ。」
「ないね。」
「お前、顔はいいのにな。ま、顔だけだもんなー。」
「顔だけって…そーいうお前はどうなんだよ。」
「ふふん、聞いて驚け!なんと、コクられたーー!」
俺は口をあんぐり開けた。
「……まじ?」
水沢は、得意気にニッと笑う。
「まじ」
俺は、話をすり替えた。

「あ、そーいえば」
手紙読んでなかったなーと思って、結局帰りまですっかり忘れた。

……

成宮 羽陽くん

私の名前は、木嶋 菜留。たぶん、まだ君とあっていないと思うの。だから、名前だけでも覚えておいてね。
この手紙は、未来、君にあった時から書いてます。
詳しいことは、あまり言えないけれど、明日の朝は、絶対に寝坊しないで。
めざましかけまくって!
それでも、寝坊しちゃったら、10時になるまで、外に出ないでほしいの。
おねがい。これは、守って欲しい。

「?」
手紙は、それで終わっていた。
「寝坊か…」
ホントかどうかはわからないが、備えあれば憂い無しって言うし、ちゃんと目覚ましかけとこう。

「……」
やっちまった。

確か、手紙には、10時まで外に出るなって…でも、10時って1時間目の途中ぐらいで…もうすぐ期末なのに、やばくね?

うーん……

結局悩んでると、時間はもうすぐ10時。
「今更か」
俺は支度すると、家を出た。

その時

ガシャン!!

「な、なんだ?」
いつも学校に向かう道を見る。

車が、電柱とぶつかっていた。
俺は、ゴクリとつばを飲む。
少しでも、早く家を出ていたら、巻き込まれてた可能性がある。

手紙は、

それを、知って……?

「まじかよ…」

「おはよー、お前堂々と遅刻しやがって。」
水沢が笑う。
「あぁ…」
「どうした?大丈夫か?」
「大丈夫」
と俺は苦笑した。

「この手紙のおかけで助かった。…不思議だな…」


「なぁ、聞いたか?このクラスに空いてる席あるじゃんか、そこ留年した子の席らしくてさ。」
「ふーん」
「で、今日来てるらしいぜ。」
ガラッと戸を開ける音がした。
そこに入ってきたのは、背の小さい女の子。

「あの子が…」
「よく来れたわね…すごい。」
「私だったら、きたくないわ…」
「私も」
女子達になんや言われても、気にするそぶりはなかった。

「あの子、名前はなんて言うんだ?」
「えっと、確か……木嶋 ……」
「……菜留?」
「そうそう、よく分かったな。」
俺は、その子をじっと見た。
あいつが、手紙の送り人……

手紙の送り人だ、と分かったところで、話しかけもしなければ、話しかけられもしない。急展開が起こることもなかった。
そうしてるうちに、期末も終わり、春休みが始まる…
「ね、春休みクラスのみんなでどっか行かない??」
クラスのムードメーカー的存在の鳥野が言った。
「いいね!」
「いつ、どこ行く?」
「俺、この日なら完全暇だけど…」
みんな乗り気だ。
「じゃ、決定でいい?」

「ふふふ……」
「……なんだよ、気味悪いぞ。」
「春休みは、彼女とデートだよ。」
「あー、イイデスネ」
「棒読みだなー」

そして、春休みがやってきた。
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