僕に、恋してみたら?


胸が、張り裂けそうだ。

逃げたいのに、足が動かない。

見たくないのに、目をそらせない。


「やめ……っ、」

かたくなに拒否するお姉ちゃんを、力一杯、壁におさえつける先輩。

「やめない――っていったら?」


やっとの思いで動いた足が、もつれ――わたしは、階段を踏み外し、落下してしまった。


誰かの叫び声がうっすらと聞こえてくる。

茉帆と呼んでいるような気がするから、きっと、お姉ちゃんだろう。

お姉ちゃんとの約束を破って屋上に来たから、バチがあたったのかな。

ごめんなさい、お姉ちゃん。


でも、もう……わたし、手遅れかもしれない。

意識を失いかけているというのに。

身体に激痛が走ったというのに。


真っ先に頭に浮かぶのは、あの人なんだ。

……水上先輩なんだ。




< 67 / 288 >

この作品をシェア

pagetop